対 象 と す る 地 震 の レ ベ ル
■DuMAがサイエンスする、地震のレベル(マグニチュード)は?
マグニチュード(M) 6.5 以上の大地震
DuMA が、前兆現象をサイエンスする地震の大きさの対象をM>6.5以上とします。
M>6.5以上をモニターする意味は、2つの意味があります。
1) 日本,特に陸域において人的な被害が、M>6.5以上の地震から出始める。
2) 学術的には地震断層が地表(あるいは海底)に顔を出すのが,このマグニチュードM>6.5以上の地震からである。
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この事は海域で地震が発生した場合,M6.5未満では津波は発生しない事を意味します。
( 実際にはM>7以上で被害がでる津波が発生する。)
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換言すると,地下のある深さで破壊を開始し(震源),それが地表あるいは海底に断層として顔を出すためには,
M>6.5以上の大きさが必要と地震学的に考えられているからです。
3.11以降 「震度5弱」や「震度5強」の地震に過敏になっています。
DuMA では、前兆現象をサイエンスする地震の大きさの対象を「震度5弱」や「震度5強」ではなく、
M>6.5以上としているのかを説明いたします。
地 震 =【 震 度 】と【 地 震 の 大 き さ 】を 混 同 し て 使 っ て い る 。
■「 震 度 」と「 マ グ ニ チ ュ ー ド 」?
「 19日午前10時43分ごろ、和歌山で震度5強の地震①がありました。
気象庁の観測によると、震源地は紀伊半島沖で、震源の深さは浅く, 地震②の規模を示すマグニチュード(M)は6.6でした。
海岸では津波の可能性がありますので注意してください。」
というようなアナウンスの文章には「地震」という言葉が2回(①,② ) 使われています。
「地震①」「地震② 」で、意味が違います。
最初の「地震① 」は「地面が揺れた」という意味で「地面の震動」を表しています。
2番目の「地震② 」は地下で断層が急激にずれ動いた時(断層運動)、最初に動いた
地点(震源)から 大きな地面への振動が生じる地震動の現象を意味します。
この震源での岩盤の破壊の規模(エネルギー)を意味しています。
震度とマグニチュードという言葉の両方の説明に「地震」という同じ言葉が使われ
てます。
1つの「地震② 」に対する「マグニチュード」は,一つの値しかありません。
これに対して「震度」の方は,地震を感じる場所、震源からの距離などによって
値が大きく異なり, ひとつの地震に対していくつもの「震度」が存在します。
2011年3月11日の「東日本大震災」での,各地での「震度」は右図の通りで
震度階級の「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級すべて記録されています。(右図1:震度マップ)
震度は「震度計のある場所」の震度であり、同じ市区町村内でも場所が違えば震度が異なる場合があります。
また建物の高層階、低層階での震度が異なる場合があります。建物の1階と高層階、低層階での震度が異なることを、高い建物や、免震構造の建物に住んでいたり、勤務されている人は 震度の違いを経験されていることでしょう。
右図2(高層階と低層階の震度の違い)は1989年のロマ・プリータ地震のときの
サンフランシスコ、トランスアメリカ・ピラミッドでの震度の違いです。
地震を体験した場所の震度が「震度4」と発表されても、高層階にいて
「震度5強」と感じることは多々あります。
当然地震の規模「マグニチュード」で震度大きさが変わってきます。
震源から遠くなると(震源からの距離、震源の深さ)「震度」は一般的に小さくなります。震源からの距離が同じでも、地盤が軟らかいと「震度」は一般的に大きくなります。(右図3:地震の伝搬)
地震がかなり大きいとニュースになるような「震度5強」の地震は
「マグニチュード8」クラスでは 当然記録されますが、
震源からの距離が近かったり、震源の深さが浅かったりすれば、
「マグニチュード5」クラスの地震でも「震度5強」の震度は記録されます。
DuMA で、前兆現象をサイエンスする地震の大きさの対象外である
「マグニチュード5」クラスでも「震度5弱」や「震度5強」の地震は地域によってはおこります。
【図1】 3.11の震度マップ
【図2】
【図2】
【図3】地震の伝搬
「 震 度 5 強 」を も た ら す 地 震
【図4】
徳島県南部で起こった地震は、震源の震度が10Kmと浅く、震央で「震度5強」を記録しました。「マグニチュード5」クラスの地震は、2000年から2012年の13年間で1,359回起こっています。これは月平均8.7回、週平均2回の頻度で起こりました。
恐怖を感じる「震度5強」を引き起こす可能性のある「マグニチュード5」クラスの地震は3日に1度のペースで起こっているのが地震大国・日本の現状です。
また【「震度5強」をもたらす地震(2) 】の2015年5月30日に小笠原諸島西方沖で起こった 「マグニチュード8.5」の巨大地震での最大震度は「震度5強」でした。関東大震災や阪神大震災より大きなマグニチュードであったにもかかわらず、震源の震度が590kmと極めて深いところで起こった地震のために、最大震度は「震度5強」でした。
【図7】
1つの「地震 」には「マグニチュード」は,一つの値しかありませが、「震度」の方は,地震を感じる場所、震源からの距離などによって値がいくつもあります。「マグニチュード9」といった、3.11東日本大震災のような”超巨大地震”では 最大震度が「震度7」を記録しました。遠く離れた東京や関東でも、地震の規模・破壊の大きさが巨大であったために「震度5強」は、記録されました。
※ 左図4:【「震度5強」をもたらす地震(1) 】
【図5】
一方で右図5のように「マグニチュード5」クラスの地震でも「震度5強」を記録することがあります。下図6:【「震度5強」をもたらす地震(2) 】は、2015年2月6日に徳島県南部で起こった地震です。
【図6】
↑ 詳しくはニュースレターで ↓ ↑ ↓
←左図7【「震度5強」をもたらす地震(3) 】は、過去の巨大地震のマグニチュードの大きさを球体に大きさで比較したものです。
マグニチュード「M9」「M8」「M7」「M6」「M5」のいずれでも、怖いと感じる揺れの「震度5弱」や「震度5強」の震度を記録します。
「震度」の「震度4」「震度5」「震度6」「震度7」やマグニチュード「M5」「M6」「M7」「M8」「M9」は 単に数字が1つずつしか違いません。
震度は「震度計のある場所」の震度であり、同じ市区町村内でも場所が違えば震度が異なし、人それぞれの体感の差があるので、「震度3」と「震度4」の数字1つの差が微妙な時がありますが、マグニチュードは数字が1つ違っても、エネルギーに大きな差があります。
地 震 の エ ネ ル ギ ー の 大 き さ の 比 較
地震のエネルギーの大きさを対数で表した指標値である地震のマグニチュード(magnitude)は、その尺度の定義を変えてきています。
現在では、巨大地震のマグニチュードはモーメントマグニチュード(Mw)を使って表現 する事が共通認識となっている。
金森博雄により1979年に提唱された、新しいマグニチュードの概念です。それまで にいくつも提案されたマグニチュードでは、巨大地震になれば なるほど、実際 のエネルギーより過小評価される傾向があった。金森はマグニチュードを断層面の大きさとずれの量で定義する事を提唱し、ある大きさで飽和する事がなくなっています。
ニュースなどで発表されるのは気象庁マグニチュード(Mj)です。
【図8】
気象庁が独自に定義したマグニチュードでモーメントマグニチュード(Mw)ともM7クラスまで はよく一致しています。
マグニチュードは数字が1つ違うと約32(31.62)倍になり、2つ 増えると地震のエネルギーは約1,000倍になります。 M5=1とすればM8は約3万2千倍、M9で100万倍になります。(右図9)
「震度5強」を引き起こす可能性のある 「M5」以上を"中地震”、「M6」以上を"大地震”、「M8」以上を"巨大地震”と呼ばれます。
阪神大震災はMw=6.9で関東大震災はMw=7.9でした。
「M9」以上を"超・巨大地震”は、近年では、世界で5例しかありません。そのうちの1つが3.11東日本大震災でした。(上図8)
【図9】
各 M ク ラ ス ご と の 地 震 の 発 生 数
右の図10→は、2000年1月1日から2012年12月31日までの13年間の日本の各M(マグニチュード)ごとの地震の数/頻度と発生場所です(M3〜M6)。 M3=55,780個、M4=10,873個 M5=1,359個、M6=205個で Mが上がれば発生数は減ってきます。 13年間でM7=22個で、M8=1個、M9=1個づつでした。
M4クラスの地震は過去13年間で年平均は836回の地震が起こり、これは1日2回、朝昼1回づつ日本のどこかでM4クラスの地震が起こりました。
恐怖を感じる「震度5強」を引き起こす可能性のあるM5クラスの地震は、過去13年間で年平均は105回の地震が起こり、これは週2回のペースで日本のどこかでM5クラスの地震が起こりました。
各M(マグニチュード)ごとの地震の数を立体(積木)の大きさで表したのが、←左図11.のイメージです。
【図10】
【図11】
各 M ク ラ ス ご と の 地 震 の エ ネ ル ギ ー の 総 和
2000年1月1日から2012年12月31日までの13年間の日本の各M(マグニチュード)ごとの地震の数に、M3クラスの地震の規模を M3平均=1として、それぞれのMクラス平均に、地震の規模の係数をかけて ”地震1個の(破壊)エネルギー”とした。
(左下図12:表、 右下図13:概念図 積木の立体とMの大きさの球体とのかけ算)
【図12】
【図13】
Mクラスごとの、【地震の数】 X 【地震1個のエネルギー】 = 【地震のエネルギーの総和】 とした。@ M3=1
(左下図14:表、 右下図15:概念図 積木の立体(数) X Mの大きさの球体 とのかけ算で、= 積木の立体(エネルギーの総和))
【図14】
【図15】
Mクラスごとの、【地震の数】 X 【地震1個のエネルギー】 = 【地震のエネルギーの総和】 (@ M3=1)の計算からできた、Mクラスごとの、【地震の数】の立体の積木と【地震のエネルギーの総和】の立体の積木の概念図のが右図16.です。
この概念図から分かることは M9の地震やM8の地震は過去13年間で1個ずつしか発生しなかったのに、恐怖を感じる「震度5強」を引き起こす可能性のあるM5クラスの地震が過去13年間で1,340個もあったにもかかわらず、地震のエネルギーの総和】はM9、M8のエネルギーの総和の方がはるかに大きい積木になっています。
恐怖を感じる「震度5強」を引き起こす可能性のあるM5クラスの地震が起こる起こらないで、一喜一憂している私たちですが、過去13年間でM5の頻度は週2回、3日に1度日本のどこかで起きていました。数が少ないのですが、M9,M8,M7クラスの地震の破壊のエネルギーの総和は凄まじく大きいものになります。
【図16】
M>6.5 以 上 を モ ニ タ ー す る 意 味
DuMA が、前兆現象をサイエンスする地震の大きさの対象を
M>6.5以上とし、M>6.5以上をモニターする意味は、
1) 陸域において人的な被害が、M>6.5以上の地震から出始める。
2) 海域において大きな津波が、M>6.5以上の地震から出始める。
( 実際にはM>7以上で被害がでる津波が発生する。)
。。。。でした。
M6クラスを ”M=6.0~6.5未満” と ”M=6.5~7.0未満”にわけて
考察しなおすと、 右図17.となります。
恐怖を感じる「震度5強」を引き起こす可能性のあるM5クラスと
”M=6.0~6.5未満”クラスを1つの領域①に、DuMAがモニターする対象の地震 M=6.5以上(6.5~9.0+)をもう一つの領域②に分けると、右図18.となります。
● 2000年から2012年の13年間の地震の発生数は
”M= 6.5以上(6.5~9.0+)” = 83個 (5%)
”M=5~6.5未満(5.0~6.5)” =1,506個 (95%)
● 2000年から2012年の13年間の地震のエネルギー総和は
”M= 6.5以上(6.5~9.0+)” = 1,067kk (99%)
”M=5~6.5未満(5.0~6.5)” = 13kk (1%)
k=1,000
恐怖を感じる「震度5強」を引き起こす可能性のあるM=5~6.5未満の地震は過去13年間で1506個も発生していますが、破壊のエネルギーは、たった1%しかありません。DuMAがモニターする対象の地震 M=6.5以上の地震はまれにしか発生いたしませんが、地震の破壊のエネルギーの総和は極めて大きく、被害が甚大になり得ます。
DuMAがモニターする対象の地震と 地震の概略をまとめた表が下記図19です。
【図17】
【図18】
【図19】
M>6.5 以 上 の 地 震 の 前 兆 現 象 を サ イ エ ン ス す る
DuMAは東海大学/地震予知研究センターや、地震前兆・予兆現象をサイエンスする研究者の方々と連携を組んいます。日本の大学や他の研究機関でも、地震前兆・予兆現象をサイエンスする研究者は数が少ないですが、研究は行われています。
図20の表は、地震地質学で研究している前兆滑り以外の、地震前兆・予兆現象の研究の分類と各大学研究機関と活動状況です。
図21の表は、阪神・淡路大震災以降の主なM6.5以上の地震について、図21で述べた主な手法を適用して、前兆的変動の有無を暫定的にまとめたものです。これらはすべて”地震発生後”に、地震前兆・予兆現象が、観察されている手法で前兆的変動があったかどうか検証・解析したものです。適切な予算措置がなされ、常時モニターできるように観測網が整備できれば、”地震発生前”のモニターの実用化は可能になるでしょう。
DuMAが、ニュースレターで提供していく【地下天気図®】は、東海大学/地震予知研究センターで開発された、『SPI=Seismic Pattern Informatics』【サイズミック(地震活動度の)パターン・インフォマティクス】、という地震の活動度・静穏化の状態を数値モデル化し、【RTM法】という地震活動評価のためアルゴリズムで計算され、可視化した 地下の天気図です。
【図20】
【図21】