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ニュースレターでは、地下天気図®を用いた最新の観測データ、解析結果など、地震予知情報をお届けいたします(有料)
ニ ュ ー ス レ タ ー バ ッ ク ナ ン バー
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ニュースレターバックナンバー 2017
◆ 2017年
● 北海道・千島列島で巨大地震が切迫?: 12月19日、政府・地震調査委員会から北海道東部沖から千島列島南部にかけての地域でマグニチュード(M)9級の超巨大地震が起きる恐れがあるとの予測が公表されました。報道によれば、今後30年以内の発生確率は7~40%で「切迫性が高い」とも言われています。 今回の発表の元となったデータは、津波堆積物の調査です。西南日本では南海トラフ沿いの巨大地震について、過去1,500年ほどは古文書の記録が残されています。それに対し北海道および千島列島南部の地域では、そのような文書記録が存在せず、過去の巨大地震発生の歴史が復元できていません。 北海道大学等の調査から、17世紀に北海道東部で高さ20mに達する津波の痕跡が発見されました。そしてマグニチュード9クラスと考えられる超巨大地震が、過去6,500年間に18回発生したと考えられ、その平均の発生間隔が340~380年と推定されたのです。さらに今回のニュースレターでは、北海道大学の最新の研究成果も紹介しております。● 首都圏の地下天気図®解析: 11月13日のニュースレターに引き続き、首都圏の地下天気図をお届けします。これまで、北信越・関東北部を中心とした地震活動の静穏化異常を継続して報告させて頂きましたが、これらの静穏化の異常は、ほとんど消失(=地震活動の回復)した状態が続いています。
● 南海トラフ沿いの巨大地震発生の季節性について:近い将来、必ず発生するのが南海トラフ沿いの巨大地震です。南海トラフでは過去100年から200年の周期でマグニチュード8(ないしそれ以上)の巨大地震が繰り返し発生しています。そして地震の度に大きな津波被害に見舞われています。記録に残る最初の南海トラフ沿いの巨大地震は、西暦864年に発生した地震で「白鳳地震」と呼ばれています。南海トラフ沿いでは巨大地震が繰り返し発生しており、その発生様式は全部の領域が一度に破壊したり、あるいは東側だけで地震が発生し、その後2年後に西側で地震が発生した事もあります。さらに1605年の慶長地震は「津波地震」とも言われており、揺れに比べて極めて大きな津波が発生していた事がわかっています。このような事から、2017年秋にDuMA/CSOの長尾も委員として参加した内閣府の委員会報告では、「南海トラフ沿いで発生する巨大地震には多様性が存在する」という報告になったのです。またこの南海トラフ沿いの巨大地震については、その発生に季節性があるという事が知られています。今週はその季節性がどのようなものかについての解説を行ないました。
●海域のM7クラスの地震をターゲットとした地下天気図®解析: 11月6日のニュースレターに引き続き、海域の長期間(2000年以降の17年間)の地震データを用いた地下天気図解析です。今回のニュースレターから、解析対象範囲を明確にするために、この解析では、やや精度の劣る東北地方全域にハッチをかけさせて頂きました。これは2011年の東日本大震災により、東北地方およびその沖合地域は、地震の発生様式や頻度がそれ以前と全く異なってしまい、データを連続して解析するのが若干困難であるためです。解析の結果、ここ1ヶ月少しの間では地震活動のパターンはほとんど変化していない事が確認されました。
● カムチャッカでも激しい火山活動が: 今週はカムチャッカ半島における火山活動の状況です。12月8日にはユーラシア大陸最高峰の活火山とされているカムチャッカ半島中部のクリュチェフスキー山(標高4,750m)で、一ヶ月ぶりの噴火があり、火山周辺を航行する航空機に対し、危険度が2番目に高いオレンジ色の航空コードが設定されました。日本以外では、世界中で火山活動が活発な状況が続いています。
● 誘発地震について: これまで「誘発地震」という事をDuMAでは何度か取り上げてきました。「誘発地震」とは、なんらかの原因により、本来はその時期に発生するはずのなかった地震が、何かのきっかけで発生してしまう事とも言えると思います。 例えば東日本大震災(M9.0)の翌日に長野県栄村でM6.7の地震(死者3名)が発生したのは、巨大地震の影響により、本来もう少し先(ここで言う「もう少し」とは年単位の話です)で発生すべき地震が311の地震による地殻内部の歪の再配置によって発生した事が明らかになっています。また古典的に知られているのは、巨大なダムを建設すると周辺で地震が多発するという事例です。さらには最近ではシェールガス(シェールオイル)の掘削に伴い、地震が発生し、採掘を一時中止する騒ぎも発生しています。なぜ本日この話題を取り上げたのかと言いますと、12月9日には北朝鮮の豊渓里核実験場付近でマグニチュード3の地震が発生し、さらに地震が続発しています。豊渓里核実験場付近では、9月以降地震が頻発するようになっており、これらは核実験の影響により誘発された地震なのです。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®:今回お示しする解析は2001 年以降の約16年間の地震テ?ータを使っています(長期間のデータ)。11月27日付のニュースレターでは、311以降の比較的短期間(6年間)のデータ解析により、「中国地方西部から瀬戸内海にかけても静穏化が消え、地震発生の可能性が高いと考えられる。期間はやはり半年から1年程度か?」とお伝えしました。ところが、瀬戸内海から中国地方西部にかけての地震活動静穏化現象がまた進みだした事がわかりました。さらに京都府を中心とした静穏化の異常が出現している事が判明しました。
● 世界各地で火山活動が活発です: 先週は後述する白山を含む火山活動の活発化に関するニュースがメディアで多く取り上げられました。インドネシアのバリ島火山については空港の閉鎖など、大きな影響が出ている事はご存知かと思います。一つ気になる報道は、NASAのコメントで、バリ島火山の活動がもう少し活発化すると、気候に影響を及ぼすかもしれないとの懸念を示しています。例えばフィリピンのピナツボ山の噴火(1991年)では、放出された大量の火山灰が成層圏まで達し、世界中に拡散しました。その結果、日本でも戦後最悪の冷夏で、米など農作物の収穫に大きな影響を及ぼしました(1993年の「平成の米騒動」と言われています)。またメキシコシティの南東50キロに位置しますポポカテペトル山(標高5,426m)も29日には爆発的噴火を起こしました。日本でも、九州の霧島連山・新燃岳(標高1,412m)で火山性微動が発生し、火山性地震も増加しており、活動が10月の噴火以降、再び活発化しているようです。
● 白山で火山活動が活発化: 石川県と岐阜県にまたがる白山で、11月29日に火山性地震が急増しました。このような現象は白山で詳細な火山監視のための地震観測が開始された2005年以降、初めての事でした。噴火が切迫している状況ではありませんが、このような情報が今後気象庁から多く発表される事になろうかと思います。最も最近の噴火が1652年で、すでに350年以上沈黙している事から、白山が活火山である事をご存知無い方も数多くいらっしゃると思います。
●2017年11月の地震活動概観: 11月に日本列島およびその周辺ではマグニチュード? 5 を超える地震が8個発生しました。特に地震活動が活発であったという事はありません。 15日には韓国南部で、マグニチュード5.6(当初5.4と発表された)の地震も発生しました。11月20日のニュースレターでも触れましたが、この近くには原発も多数あり、今後の地震活動推移にも注意を払う必要があると思います。
●全世界のマグニチュード8クラスの地震予測について: DuMAは、ロシア科学アカデミーとUCLAが開発した、全世界のM8クラスの地震を5年間という期間で予測するM8グループと共同研究を行っています。こしばらくこの情報をお知らせしていませんでした。M8 algorithmにつきましては、本Web に解説があります。今回のニュースレターではM8クラスとM7.5クラスの2つの地震規模を想定した中期的(今後5年以内)な予測を示しています(5年以内というのは、すぐに発生する場合もあるという事を意味します)。
● 韓国の地震続報: 11月20日のニュースレターで、韓国・浦項(ポハン)で発生した地震(マグニチュード5.4)により、大学修学能力試験が延期された事をお伝えしましたが、この地震で被害が発生した事が日本や韓国の地震学界で話題となっています。韓国では、なぜこの程度の地震で被害が出たのかという事(一番の原因は熊本地震のように震源の深さが極めて浅かった事が大きく影響しているようです)や、近くに原子力発電所が多数存在する事から、海底の断層調査をもっと行なうべきではという報道もなされています。日本ではこの規模の地震で通常の家屋に被害が出る事はありません。耐震補強や強い家を建てる事が地震防災における第一歩です。
●日本列島陸域の地下天気図解析®: この所、地下天気図に重要な変化が観測されている事から、今週は5月4日のニュースレターの地下天気図®を再掲し、最新のものと比較する事により現在の日本列島陸域の状況についてまとめ、今後半年から1年程度で地震発生可能性のある地域についての評価を行っています。
● 11月12日から18日にかけての世界の地震活動: 先週は世界各地で顕著な被害地震が発生しました。まず、12日にはイラン・イラク国境でマグニチュード7.3(米国地質調査所調べ)が発生し、14日の時点で死者400人以上、負傷者7000人と報告されています。イランでは2003年にもバム地震と呼ばれるマグニチュード6.6の直下型地震が発生し、死者4万人以上を出したとされています。この地震により、世界遺産のアルゲ・バムはほぼ全壊してしまいました。 さらに17日にはチベットでマグニチュード6.9(中国地震局発表)の地震が発生しました。こちらの地震はまだ被害全容がわからない状況です。
● 韓国で発生した地震(M5.4)について: 15日午後、慶尚北道でマグニチュード5.4の地震が発生しました。この地震により、16日に予定されていた「大学修学能力試験」(日本の大学入試センター試験に相当)が1週間延期された事が日本でもニュースとなりました。この地震は韓国で近代的な地震観測が開始されてから、2番目に大きな地震でした。 昨年の9月の地震も15日の地震も、いずれも熊本地震と同じメカニズムを持つ地震であり、長期的にみると将来発生が確実な南海トラフの巨大地震の準備が進んでいるために韓国南部にも歪が溜まっている事を証明する地震です。
● 東北沖にターゲットを絞った地下天気図®: 10月9日のニュースレターに引き続き、東北沖の状況です。10月の時点で、岩手沖・宮城沖・福島沖・茨城沖の広い範囲に地震活動静穏化異常が広がっていました。これまでの活動をまとめてみますと、8月:地震活動静穏化の異常が岩手沖、宮後沖を中心に大きくなるー>9月:岩手沖、宮城沖で静穏化が残るが、異常が収束傾向に見えたー>10月:東北沖全域に静穏化が再び大きく広がったー>11月:岩手沖の異常がかなり小さくなり、宮城沖の異常が現在は残っている、という状況です。
● 海底地震計のデータを列車の自動停止に活用:10月30日、防災科学技術研究所とJR東日本、JR東海、JR西日本のJRグループ3社が海底地震観測網のデータを鉄道の地震防災対策に活用することになったというプレス発表がありました。JR 東日本の新幹線の一部区間でこの年11月1日より地震発生時における新幹線制御への活用が始まり、JR東海、JR西日本の新幹線については、準備ができ次第新幹線制御への活用を始める予定とされています。これまで、なぜ国の海底地震計のデータを使わなかったかのかと言いますと、国が管理する海底地震計が誤動作して、誤って列車を停止させてしまった時の補償などについて、なかなか合意が出来なかったという経緯がありました。ただ、東海道新幹線(東京ー新大阪)については、実はこの恩恵を受ける事は出来ないようです。
● 首都圏の地下天気図®解析:10月2日のニュースレターに引き続き、11月9日時点の首都圏の地下天気図®をお示しします。これまで、北信越・関東北部を中心とした地震活動の静穏化異常を何度も報告させて頂きましたが、ついにこの地域での静穏化の異常がほとんど消失(=地震活動の回復)したようです。過去の経験則が正しければ、この地域でM6後半から7クラスの地震発生の準備が整ったと考えられます。
● 2017年10月の地震活動概観:10月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、日本およびその近郊でマグニチュード 5 を超える地震は6個発生しました。9月は10個、8月は7個、7月は11個、6 月は 6 個と推移しており、特に地震活動が活発であったという事はありません。ただ10月6日に2つの地震(M6.3とM5.9)が福島沖のすぐ近くと日本海溝の外側(アウターライズ)で発生した事は、米国地質調査所の速報でも東日本大震災の影響が強く感じられたペアとなる余震活動として、大きく取り上げられました。10月6日の地震は10月に日本周辺で発生した最大の地震でした(マグニチュード6.3)。
● 海域のM7クラスの地震をターゲットとした地下天気図®解析:9月25日付のニュースレターに続き、海域の長期間(2000年以降の17年間)の地震データを用いた地下天気図®解析を今週はお示しします。DuMAでは地下天気図®の作成にDuMAオリジナルの計算アルゴリズムを適用して解析を行っています。現在のアルゴリズムは、異常の見逃しを少なくするようチューニングしてあります。その結果、時には地震につながらない“偽の異常”を検出してしまう可能性が存在します。 そのため、別のアルゴリズムを今回は適用して解析を行ってみました。この新しいアルゴリズムは、従来のものより静穏化検出に慎重なアルゴリズムとなっています。
新しく適用した計算アルゴリズムでは、紀伊半島沖の異常は従来考えていたより、それほど大きくない可能性が出てきました。それに対し、九州南方の南西諸島沖の異常はいずれの計算アルゴリズムでも地震活動の顕著な静穏化異常が認められるもので、紀伊半島沖より、より確度の高い異常でこちらのほうが重要な異常と判断できる事が判明しました。
● 東日本大震災後のまだ発生していない危機 -2大リスクから3大リスク?へ-:2011年の東日本大震災からはや6年半が経過しました。ほとんどの方は「もう地震活動は元に戻ったのでは」とお考えになられているのではないでしょうか。しかしそうでは無いのです。これまでも繰り返し述べていますが、東日本大震災の余震活動は数十年単位で続きます。もちろん余震の発生数は確かに低下していますが、地震学的には、まだ2つの大きなリスクが残っていると考える地震学者も多くいます。それは;1)最大余震(マグニチュード8クラス)の発生、2)アウターライズにおける津波地震の発生、の2点です。今回、2大リスクから3大リスクへ1つリスクが増加したと考えるのは、従来東北のすぐ沖合で、311以前には発生していなかった正断層型の地震が発生しているという事なのです。東日本大震災では沖合の日本列島海溝軸付近で最大50mにも及ぶ海底の東向きの動きがありました。それに対し、東北地方の海岸付近では、5mほどの東向きの動きでした。つまり相対的に日本海溝付近の海底が極めて大きく東向きに動いた(ある意味動きすぎた)のです。これが今回説明する第三の危機の要因です。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®解析: 先週の10月16日のニュースレターでは日本列島陸域のデータを用いた全国の状況をお伝えし、「中国地方から瀬戸内海にかけての静穏化の異常が消失した」とお伝えしました。この陸域の解析は全国を同じ基準で解析するため、2011年の東日本大震災以降の地震データのみ(約6年間)を使って解析しています。今回の解析はより長期間の地震データを使ったものです。この長期間のデータを用いるという条件では、まだ中国地方西部・瀬戸内海周辺(四国北部を含む)の静穏化の異常は収束していない事がわかりました。
● 霧島山の新燃岳が噴火しました:霧島連山の新燃岳の活動が活発化しており、メディアを賑わしています。 歴史的には新燃岳は紀元788年から噴火の記録が残っています。1500年代後半から1700年代中盤まで数多くの噴火記録が残されています。特に1716年から開始した噴火活動は大きなものでした。その後も活発な活動を続けてきましが、最近では2011年に比較的規模の大きな噴火をしており、今回の活動はそれ以来のものとなります。
幸い鹿児島空港は霧島連山の南西側に位置しているので、比較的火山灰の影響は受けにくい方角にはあります。ただ風向きによっては航空機の運行に影響が出る可能性もありますので、ご旅行等の際には事前に十分な情報収集に務めるようお願い致します。
● 日本列島陸域の地下天気図®解析: 9月9日のニュースレターに引き続き、日本列島陸域の地下天気図®解析について報告させて頂きます。先週の情報で「東北沖の状況が大きく変化しているようです」という事をお伝えしましたが、今週の解析でもやはり東北沖の海岸沿いの地震活動が明らかに変化している事がわかりました。陸域を中心とした解析でも静穏化領域が岩手沖から宮城県沖まで東北沖に広く広がっている事がわかりました。
10月13日時点の陸域を中心とした解析でも静穏化領域が岩手沖から宮城県沖まで東北沖に広く広がっている事がわかりました。
● 現在の状況のまとめ: 日本列島陸域の地下天気図®解析により地震発生準備の状況が整ったと考えられるのは、1)瀬戸内海を含む中国地方西部地域、2)北信越を中心とした北関東を含む地域の2地域が最も可能性が高い地域と考えています。
● 東北沖の状況が大きく変化しているようです: 10月6日、23時56分ごろ、福島沖でマグニチュード5.9の地震が発生し、久しぶりに関東地方にも緊急地震速報が流れました。マグニチュードは5.9とそれほど大きくはありませんでしたが、陸の近くで発生したため、緊急地震速報が発令されたのです。さらに10月6日昼にも日本海溝の外側でマグニチュード6.3の地震が発生しています。この日本海溝の外側で将来大津波を伴うマグニチュード8クラスの地震が発生するのではないかと地震学的には考えられています。
● 東北沖にターゲットを絞った地下天気図®解析: 東北沖は東日本大震災により、大きく地震発生のパターンが変わってしまいました。そのため、予測が難しい地域となっています。
9月4日のニュースレターでは8月31日時点の地下天気図®を紹介させて頂きました。そして岩手県およびその沖合の地震活動静穏化領域の異常が少し小さくなった可能性があると報告させて頂きました。ところが、10月6日時点で解析を行ってみますと、どうもそうではなかった事がわかりました。解析の結果、静穏化領域が岩手沖から茨城沖まで大きく広がっている事が確認され、状況が大きく変化している事がわかりました。
● 中央防災会議の発表について: 9月26日、各種メディアは、『中央防災会議は南海トラフ巨大地震の対策強化のため、東海地震の予知を前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく対応を約40年ぶりに見直すことを決めた』という趣旨の報道を行ないました。これは、同会議の有識者会議が「確度の高い予測はできない」との見解を示したためとされています。より大きな問題なのは、『予知を前提とした防災を見直す』という表現を多くのメディアが使った事です。大規模地震対策措置法というのは、前兆現象が観測された時に、法律が無いと行政組織は動く事ができないという事から、“万が一、前兆と思われる現象が観測され時に、行政はどう対応する”かという手順を決めたものです。しかし40年を経過して、『予知ができるから大規模地震対策措置法が出来た』とメディアを含む多くの方が考えるようになっていたという事なのだと思います。行政は手順(つまり法律)が無いと動く事は出来ません。
南海トラフ沿いの巨大地震では、過去に明瞭な前兆と考えられる現象が何度も観察されていました。昭和19年の東南海地震の前には地震数日前からの地殻変動、昭和21年の南海地震の前には12時間ほど前から海岸の隆起(地殻変動)や多くの井戸での地下水の異常などが観察されていました。また愛媛県の道後温泉も複数回の南海トラフ沿いの巨大地震の前後に井戸枯れや温泉水の濁りがあった事が報告されています。そのため、現在の高感度の計測装置で大きな異常が観察された時にどう伝え、行動するかという事の手順を決めたのが大規模地震対策措置法であり、決して予知ができるからこの法律が成立した訳ではなかったのです。
● 9月の地震活動概観:9月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード5 を超える地震は10個発生しました。8月は7個、7月は11個、6 月は 6 個、5 月は 9 個、4 月は 7 個、3 月、2 月はいずれも 5 個でした。9月は少し地震活動度が上昇したとも言えそうです。9月8日に秋田県内陸部で発生したマグニチュード5.2の地震では、一部観測点で震度5強を記録したため、メディアでも報道される事になりました。これは震源が極めて浅かった事に起因するものです。また9月21日に三陸沖で発生した地震は、当初マグニチュード5.9とされましたが、その後6.3に変更され、9月に日本列島周辺で発生した一番大きな地震となりました。
● 首都圏の地下天気図®解析: 8月28日のニュースレターに引き続き、首都圏の9月30日時点の地下天気図®をお示します。基本的に日本列島陸域の解析でも繰り返し指摘しております北信越地域を中心とする広域的な異常がこの地域での主要な異常となっています。今回の解析でも、静穏化の異常は継続中である事がわかりました。過去の経験則が正しければ、現時点で地震発生の可能性はまだ低いという事になります。
● メキシコでまた被害地震が発生しました: 9月8日に発生したマグニチュード8.1の巨大地震に続いて、そこから300kmほど離れた地点で、今度はマグニチュード7.1の地震が発生しました。この地震は8日のマグニチュード8.1の巨大地震の余震ではありません。巨大地震に誘発された地震と考えられます。 日本でも東日本大震災の翌日にマグニチュード6.7の長野県北部地震(栄村の地震)や3月15日には静岡県東部地震(マグニチュード6.4)が発生しています。これらは東日本大震災により誘発された地震で、余震とは異なります。 メキシコで発生したマグニチュード7.1の地震もこのカテゴリーの地震です。ただ内陸であったこと、メキシコシティに近かった事から、地震のエネルギーは約1/30と小さかったものの、被害が非常に大きくなったと推察されます。この9月19日の地震の近くでは、1973年、1980年、1999年にも同規模の地震が発生していた事がわかります。
● 海域のM7クラスの地震をターゲットとした地下天気図®: 8月21日のニュースレターに引き続き、海域の長期間(2000年以降の17年間)の地震データを用いた地下天気図解析です。 5月の時点では、紀伊半島沖の地震活動静穏化のピークが過ぎたように見えたのですが、どうもそうではなかったようです。さらに静穏化の領域が広がってきている事が確認されました。従って過去の経験則が正しければ、現時点では紀伊半島を含む南海トラフ沿いで大きな地震が発生する可能性は低いという事が言えると思います。
● 太陽フレアは地震の引き金となりうるか?: 9月8日(日本時間)、メキシコ沖で巨大地震が発生しましたが、この地震の直前の9月6日に太陽で巨大なフレアが発生したという事がありました。太陽フレアは大きな地磁気変動を引き起こします。一部のネットでは、この太陽フレアが地震と関係があるのではという事が話題となっていましたが、これは実は全く根拠の無い事ではないのです。 ロシアでは、旧ソビエト時代に地下に大電流を流すと地震活動が活発化する事を偶然発見しました。これは、当時の冷戦時代は本当に核戦争がありうると考え、通信手段の確保のために地下を使ってモールス信号を送る実験を行なったのです。これは、大気中で核爆発が起きると電離層が破壊され、短波通信ができなくなる事や、海底ケーブルが敵によって切断されたり、通信衛星が破壊された時の事をソビエトは考えました。そして地下に大電流を流すと、その2日後位をピークに周辺の地震活動が有意に増加するという結果が得られたのです。 ただこのような誘発地震というのは、色々な原因で発生しますが、我々のグループの解析では、最も重要なのは、その場(地殻)が「もういつでも地震が発生する準備が整っている」という事で、物理学的な言葉で言うと「地殻が臨界状態になっている」という必要がある事もわかってきました。このソビエト時代の実験について紹介しています。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®: 8月14日付のニュースレターに引き続き、中部地方より西側地域の地下天気図®解析です。この地下天気図®解析は、2001 年以降の16年間の地震データを使っています。従って比較的短期間で大きな変化をしにくいのが特徴です。先週9月11日付のニュースレターで「中国・四国地方の地震活動静穏化現象が終了した」と報告させて頂きましたが、これは日本全国を解析の対象としているため、2011年の東日本大震災以降の地震データのみを使って解析しているためです。つまりバックグラウンドの地震活動データ(の長さ)が異なるためです。どちらが正しいという事ではなく、両方とも正しい解析結果なのです。広島市における地下天気図®の時系列変化も併せてお示ししました。
● メキシコ沖で巨大地震が発生しました: 現地時間9月8日未明、メキシコ南部沖合でマグニチュード8.1の巨大地震が発生しました。非常に不幸な事ですが、ビルの倒壊等により、日本時間10日夜の段階90名以上の死者が報告されています。地震の震源が深く(米国地質調査所によれば深さ70kmで発生)、地震の規模の割に津波被害が少なかった事は幸いでした。震源が深いという事はそれだけ地表(海底)から離れる事になり、津波を小さくする効果があるのです。
● 日本列島陸域の地下天気図®: 8月7日のニュースレターに引き続き、日本列島陸域の地下天気図解析について報告させて頂きます。9月8日の22時すぎに秋田県内陸部でマグニチュード5.2の地震が発生し、震度5強を記録しました。この地震はマグニチュードも小さくDuMAの解析対象地震ではなく、岩手県を中心とした地震活動静穏化領域で今後発生すると思われる地震とは異なるものと考えています。
● 2017年8月の地震活動概観: 8月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード 5 を超える地震は7個発生しました。7月は11個、6 月は 6 個、5 月は 9個、4月は 7 個、3 月、2 月はいずれも 5 個でした。なお8月2日に茨城県北部で発生したマグニチュード5.5の地震では、一部関東地方で震度4を記録しました。この地震については、8月7日発行のニュースレターで詳しく解説しています。 期間中では 16 日に南西諸島・奄美大島西方で発生したマグニチュード5.7 の地震が最大の地震でした。● 東北地方およびその沖合をターゲットとした地下天気図® : 7月24日のニュースレターに引き、続き東北地方の海域をメインターゲットとした地下天気図解析を行いました。解析の結果、この一ヶ月少しの期間では、地震活動静穏化の異常はほとんど変化していない事がわかりました。
● 南海トラフ巨大地震 予知前提の対策見直しを検討会が指摘との報道について: 8月25日、南海トラフ巨大地震について、中央防災会議の有識者会議が予知を前提として進められてきたいわゆる「東海地震」の今後の防災対策について改めるとの報道がなされました。これは実際にはどのような事なのでしょうか。DuMA/CSOの長尾はこの検討会の下に設置された「内閣府・南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会」の委員を務めておりました。この調査部会の報告で、「確度の高い予測は困難」という文言が使われた事がこの報告書に反映されています。それでは、本当に予知を諦めたのでしょうか?
この「確度の高い予測は困難」というものをもう少し正確に言うと「住民の避難行動につながる“確度の高い予測は困難”」という事なのです。確かに東日本大震災も熊本地震も予知情報は出されませんでした。これはもちろん、「想定東海地震」以外には実は予知情報を公表するしくみ(大規模地震対策措置法)が無いを読者の皆様には知って頂きたいのです(換言すれば「想定東海地震」以外は首都直下地震も予知情報というものは決して発表されない)。
今回の報道で問題なのは、国民に「予知ができないから防災対策を見直そう」という誤ったイメージを与えてしまった可能性が大きい事です。実は静岡県でも予知を前提としない防災対策や訓練をすでに行なっているのです。
もし予知を行なう事により、地震発生を防げるのであれば、予知を前提とした防災対策もありえると思いますが、予知があっても無くても耐震補強などは行わなければならない訳です。つまり予知のあるなしと事前に行なっておくべき防災対策(特にハードウエア)には本質的な違いはないのです。予知はあくまで「人命を救うための最後の砦」なのです。地震予知研究は非常にcontroversial(異論の多い)な学問となってしまいました。それゆえDuMAでは、新しいコンセプトによる予知研究を提案しています。これらの試みは逐次ニュースレターで紹介していきたいと考えています。また、この報告では、将来の南海トラフ沿いの巨大地震について防災対応を検討したほうが良いと考えられる4つのケースを紹介しています。今後のニュースレターで詳しい解説を行なっていきたいと思います。
● 首都圏の地下天気図®解析: 7月17日のニュースレターに引き続き、首都圏の8月25日時点の地下天気図®をお示します。基本的に日本列島陸域の解析でも繰り返し指摘しております北信越地域を中心とする広域的な異常がこの地域での主要な異常となっています。今回の解析では、異常はまだ進行中で、少し南の領域に拡大したように見えます。
● 桜島の活動が活発化しています:桜島の活動がさらに活発化しているようです。鹿児島地方気象台も記者会見で火山ガスの放出が増えている事や、鹿児島で有感となる地震が続く可能性がある事を伝えています。
● 海域のM7クラスの地震をターゲットとした地下天気図®解析: 今回お示しする地下天気図®は、7月10日にお送りしました海域をメインとした日本列島全体の長期的な様相の続報となる地下天気図です。5月には紀伊半島沖の地震活動静穏化のピークが過ぎたように見えたのですが、どうもそうではなかったようです。従って過去の経験則が正しければ、現時点での地震発生の可能性は低いという事になります。ちなみに赤い小さな点は解析に使用した2000年以降の地震を表しています。 九州から朝鮮半島にかけての赤い領域は、昨年の熊本地震や朝鮮半島でやはり活発化した地震活動の影響です。昨年は熊本(九州)地方だけでなく、朝鮮半島の地震活動も同時に活発化していたのです。これは熊本地震も朝鮮半島の地震も沈み込むフィリピン海プレートの影響を受けているためです。● 鹿児島・桜島の活動が8月になって活発化しています: 8月に入り、火山性地震が急増している事が気象庁より発表されています。夏休みの観光シーズンでもあり、桜島に限らず、火山観光の場合は気象庁の発表する各種情報にも目を通される事をお勧めします。
● 中国四川省で地震が発生しました: 各種メディアで報道されていますが、8月8日に中国四川省でマグニチュード7.0の地震が発生しました。いわゆる内陸直下型地震で、熊本地震と同じような規模の地震と考えて頂いて結構です。世界遺産の九寨溝が近いという事で観光業にも影響が出るのではと地元では危惧されています。
四川省では2008年にマグニチュード8.1の巨大地震(四川大地震)が発生し、9万人近くが死亡したとされています。 ちなみに1976年は中華人民共和国にとって『最悪の年』として記憶されています。これは1月8日に周恩来首相が亡くなり、7月にはこの唐山地震で公式記録でも24万人以上が死亡し、9月9日には毛沢東主席が亡くなるという事がありました。唐山地震は、20世紀最大の死者を出した地震であり、米国地質調査所の推計では60万人以上が死亡したとされています。
● 上高地・焼岳で噴気が観測されました: 8月10日、気象庁は上高地近くの焼岳で小規模な噴気を確認したと発表しました。 山の日を前にして、改めて焼岳が活火山である事を主張したのかもしれません。ちなみに観光名所となっている大正池は、1915年(大正4年)の噴火で、泥流が梓川を堰き止めて形成されたものです。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®解析: 6月26日のニュースレターに引き続き、中部・近畿・中国・四国地方の8月10日時点の地下天気図です。この地下天気図解析は、2001 年以降の16年間の地震データを使っています。従って比較的短期間で大きな変化をしにくいのが特徴です。また関東地方は2011年の東日本大震災の影響を受けており、この長期間の解析では、精度が落ちると考えています。そのため、今回の解析から、解析範囲を少し変更しました(関東地方を一部削除し、九州の一部を含めた)。
● 2017年7月の地震活動概観: 7月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード5を超える地震は11個発生しました。6月は6個、5月は9個、4月は7個、3月、2月はいずれも5個でした。7月は少し活発な地震活動であったと言えそうです。 期間中では7月20日に福島県沖、26日に南西諸島で発生したマグニチュード5.8の地震が最大の地震でした。
● 8月2日に茨城県北部で発生した地震: 8月2日午前2時ごろ、茨城県の北部を震源とするマグニチュード5.5の地震が発生し、最大震度4を記録しました。そのものは地震は2011年4月11日に福島県南部で発生したマグニチュード7.0の地震の余震です。なお2011年の地震は福島県浜通り地震と名付けられました。 なぜこの福島県浜通り地震をここで取り上げたかと言いますと、この4月11日の地震というのは、311(東日本大震災)の直後であったため、その時はあまり大きな報道はなされませんでした。しかし地震学的には(特に電力会社にとって)極めて深刻な地震だったのです。詳しくは本文で説明していますが、結論を言えば「動いてはいけない断層」で発生した地震だったのです。
● 8月3日時点の日本列島陸域の地下天気図®: これまでのニュースレターで、日本列島陸域については、北信越地方、瀬戸内海を含む中国地方西部、そして岩手県を中心とした地震活動静穏化の異常が顕著な異常として認識できるという事を報告してまいりました。前回のニュースレター(6月19日付)から1ヶ月半ほどが経過しましたが、北信越地域の異常は形も変わり、異常は若干収束の方向に向かっています。また中国地方・瀬戸内海地域の異常はほぼ消失している事がわかりました。 地下天気図解析結果からは地震発生の準備が整ってきたのではないかと言える状況です。
● アメリカ・イエローストーン国立公園の火山活動活発化: アメリカ中西部を代表する観光地の一つであるイエローストーン国立公園で、6月以降地震が頻発しています。イエローストーン国立公園周辺では、すでに1,200回を超える地震が観測されています。
イエローストーンといえば間欠泉で有名ですが、火山学の世界では、世界最大級の噴火をこれまで知る限り3回(210万年前、130万年前、64万年前)引き起こしている世界一とも言える活火山なのです。現在は次の噴火の準備の最終段階と考えらえれています。ただ、「いつ」については誤差が極めて大きいので、地学的には”もうすぐ”ですが、誤差は極めて大きいという事も申し添えておきます。現時点で非常に噴火が切迫しているという事ではありません。
● 東北地方沖の海域をメインターゲットとした地下天気図®: 6月12日付のニュースレターに引き続き東北地方海域をターゲットとした地下天気図解析です。この一ヶ月少しの期間で、静穏化がピークを超えた可能性がある事がわかりました。
過去の経験則が正しければ、現在静穏化がまだ残っているので、昨年11月22日に福島沖で発生し、津波警報が出されたマグニチュード7.4のような地震がこの地域で発生するのはもう少し先と考えられます。
● 来週7月31日(月)は第五月曜日のため、休刊となります:DuMAニュースレターは毎週月曜日発刊(月4回)です。そのため第五月曜日は休刊となります。
● 新潟県中越沖地震から10年:2007年7月16日、新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8)が発生しました。この地震では、自動車各社のピストンリングを製造していた(株)リケンの柏崎工場が被災しました。ピストンリングは自動車のエンジンに不可欠であり、リケンの国内シェアは5 割を占めており、各メーカーに供給していたことから、国内の自動車メーカー全社が一時生産を中止せざるを得ない状況に追い込まれ、大きなニュースとなりました。この地震により、事業継続計画(BCP)の重要性が現実問題として認識される大きなきっかけとなったと推察されます。今回のニュースレターでは、南海トラフ沿いの巨大地震と中越沖地震の違いについて、BCPの観点から問題提起しています。
● 首都圏の地下天気図®: 6月5日のニュースレターに続き、首都圏の7月14日時点での地下天気図®をお示ししています。基本的に日本列島陸域の解析でも繰り返し指摘しております北信越地域を中心とする広域的な異常がこの範囲での主要な異常である事が確認されました。 地下天気図®では異常が消えた後に地震が発生する可能性が高い事が経験的にわかっていますので、我々はこの異常がいつ消えるか、弱くなるかについて重要な関心を持ってきます。過去の経験則が正しければ、まだ地震発生は先という事になります。 ちなみに本日は「海の日」で本来なら休刊ですが、新潟県中越沖地震10年という事もあり、号外として発行致しました。
● 九州の豪雨災害について: 多くの犠牲者、被害が報告されている九州での大雨ですが、やはり地球温暖化を実感せざるを得ない状況なのかも知れません。熊本でも昨年の地震に引き続き、再び大きな被害が出ているようです。被災された方に心よりお悔やみ・お見舞い申し上げます。今後は豪雨と地震といった複合災害も考慮したBCPが必要になってくると思われます。現在の九州地方は地盤が地下水で飽和しており、震度3や4といった少しの地震動でも土砂崩れや斜面崩壊が極めて誘発されやすい状況となっています。 また、世界中の降雨情報が凖リアルタイムで概観できる宇宙航空研究開発機構(JAXA)のGSmapを紹介しています。
● 7月6日時点の海域を含む日本列島全域の地下天気図®: 5月29日付のニュースレターで、紀伊半島沖の地震活動静穏化のピークが過ぎた可能性があるとお伝えしましたが、7月6日までのデータの解析で、紀伊半島沖では再び静穏化が強くなっている事がわかりました。過去の経験則が正しければ、まだ地震発生の可能性は低いという事になります。これまでの経験則では、異常が消えてから地震が発生したケースがほとんどでした。 また今回の地下天気図®解析で、南西諸島で顕著な地震活動静穏化が進んでいる事が判明しました。
● 北海道と九州で震度5弱の地震が発生しました: 7月1日23時すぎ、北海道胆振地方でマグニチュード5.1(改定速報値)の地震が発生し、最大震度5弱を観測しました。この地震では札幌市の一部でも震度4を観測しました。また2日午前1時には熊本県阿蘇地方でやはり最大震度5弱を観測する地震が発生しました(マグニチュード4.5)、熊本の地震は昨年4月の熊本地震の余震です。熊本地震の余震活動は今後も年単位で続くという事を知っておく必要があろうかと思います。● 6月25日早朝に長野県西部で発生した地震について(続報): 25日7時2分ごろ、長野県西部を震源とするマグニチュード5.6の地震が発生し、長野県王滝村などで震度5強が観測されました。この地震活動は順調に推移(減衰)しており、熊本地震のような前震-本震型である可能性は極めて小さくなりました。 またDuMAでは北信越地方の地震活動静穏化を何度も取り上げてきましたが、今回の長野県西部の地震でこの静穏化に対応する地震が発生したとは考えておりません。実は昨年の熊本地震ですが、事後の解析で、熊本地震は前年の11月に発生した九州西方の地震(マグニチュード7.0)と対となって発生した可能性が高いことが判明しました。北信越の異常もこのような可能性が残っていると考えています。● DuMA/CEOの危機管理(第4回目:完)を掲載しています。 Webでも掲載しました。
● 6月20日(大分)と25日(長野/北信越)に震度5強を観測した地震が発生しました:久しぶりに地震発生のニュースがメディアを賑わせました。一つは20日の地震で、震源が九州・大分県と速報されたため、熊本地震との関係を考えられた方も多かった事と思います。 震源地は大分県佐伯市の沖合の豊後水道で、佐伯市で震度5強を記録した事から全国のメディアで取り上げられる事となりました。この地震は九州の下に沈み込むフィリピン海プレートの内部で発生したもので、熊本地震の余震ではありません。 また、25日には長野県西部で、やはり震度5強を観測した地震が発生しました。こちらは速報という形で報告させて頂きます。地震は静穏化領域の端で発生しました。これはこれまでの経験則と合致しますが、静穏化の異常と今回発生した地震の規模が合致しません。これは今後のさらなる北信越地域での地震活動活発化を示唆しているのかもしれません。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®解析: 5月22日のニュースレターに引き続き、中部・近畿・中国・四国地方の6月20日時点の地下天気図をお示しします。5月の段階と比べて大局的な静穏化異常(青い領域)のパターンは変化していない事がわかりました。またこの地下天気図®解析では、東日本大震災より前からの地震活動を使用して解析を行っているため、東海地方より東側は少し精度が落ちると考えています。今週号では大阪における地震活動度の変化のデータもお示ししています。
● 日本列島陸域の地下天気図® : ~ ①北信越地方、②瀬戸内海を含む中国地方西部で地震活動静穏化が消えかかっています。 経験則として、「地震活動静穏化の異常が消えてから地震が発生する可能性が高い」事と 「地震活動静穏化の異常の周辺部で地震の発生する可能性が高い」事がわかっています。~ これまでのニュースレターで、日本列島陸域については、北信越地方、瀬戸内海を含む中国地方西部、そして岩手県を中心とした地震活動静穏化の異常が顕著な異常として認識できるという事を報告してまいりました。
最新の解析で、ここ1ヶ月半の間にかなり状況が変化している事がわかりました。
ちなみに地下天気図®解析では、これまでの経験則として、「異常が消えてから地震が発生する可能性が高い」、「異常の周辺部で地震の発生する可能性が高い」という可能性が高いという事がわかっています。この点に留意してニュースレターをご覧くださいませ。
従って岩手県(およびその沖合)地域の異常につきましては、まだ異常が顕著に続いている事から、地震が発生するとしてもその時期はもう少し先であると推測できます。今回は地下天気図®解析による次に内陸で被害地震が発生する可能性が高いと思われる地域(黄色いサークル)をポンチ絵として示してみました。
● 地下天気図®が扱う時間スケールについて:地下天気図®解析の一つの目的は、国が「30年で何パーセント」という、極めて長期的な予測しか示していない状況を少しでも改善する事で、「今後数ヶ月から1年」といった時間スケールでの予測とお考えください。
● 房総半島沖の地震について: 6月3日ごろから千葉県東方沖(房総半島沖)で地震が続けて発生しています。4日には震度3が2回、8日にも震度3を観測する地震が発生しました。この地域では、将来2つの地震活動が懸念されています。一つは数百年オーダーでくり返される巨大地震と、もう一つは30年程度の周期の房総半島の海岸線付近で発生するマグニチュード6.5クラスの地震です。2番目の地震は「ゆっくり地震」あるいは「スロー地震」というものと密接な関係がある事がわかってきました。 房総半島沖にはマグニチュード8クラスの巨大地震を発生させる能力があり、実際に1677年11月には銚子沖100kmほどを震源とする延宝房総沖地震(推定M:8.0)が発生しています。 さらに房総半島沖では、千葉県東方沖の地震と呼ばれるM6.5前後の地震が繰り返し発生しています。一番最近は1987年のM6.7というのがあります。その前には1950年にM6.3、1912年にM6.2が発生しています。上記3個の間隔は、38年および37年でした。これとスロースリップとの関係ですが、一つの仮説として「ゆっくり地震」が6回発生すると被害の出るM6.5クラスの地震がこの地域で発生するとも考えられます。 DuMAでは次の「ゆっくり地震」がいつ発生するかという事にも注目して解析を行っていきたいと考えています。
● 東北地方沖の海域をメインターゲットとした地下天気図®: 5月1日付のニュースレターに引き続き、東北地方海域をターゲットとした地下天気図®をお示しします。この一ヶ月すこしでさらに静穏化が進行していることがわかりました。 過去の経験則が正しければ、現在静穏化がまだ進行中であり、昨年11月22日に福島沖で発生し、津波警報が出されたマグニチュード7.4のような地震がこの地域で発生するのはもう少し先と考えられます。ただ経験則が100%正しいという事はありませんので、みなさまにおかれましては、「東北地方北部では、M7クラス(ないしそれ以上の規模)の地震発生準備がかなり進んでいる可能性が高い」というようにお考えください。
● アメリカのパリ協定離脱: 地震とは直接関係はありませんが、アメリカのパリ協定離脱宣言が世間ではニュースになっています。最近の異常気象の多発は明らかに地球温暖化の影響が推察されます。 問題なのは、このような異常気象と地震とが重なった場合です。ほとんどの企業のBCP策定には複合災害のケースは想定されていないと思われます。たとえば内陸での大地震と集中豪雨、台風が重なった場合などの事を考えておく事も必要になるのではないでしょうか。我々は事前に想定(想像)できる事には対処できますが、まさに想定外は「想定外」なのだと思います。想像力や発想力というものが重要になると思われます。
● 2017年5月の地震活動概観: 5月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード5を超える地震は9個でした。4月は7個、3月、2月はいずれも5個でしたから、少し地震活動が活発になったように見えますが、増加の原因は南西諸島・宮古島近傍でマグニチュード6.4の地震が発生したためです。 その余震を含め、南西諸島と台湾で9個のうちの6個が発生しています。本州周辺は極めて低調な地震活動となっています。
● 首都圏の地下天気図®: 4月24日のニュースレターに引き続き、首都圏の5月31日時点での地下天気図®をお示しします。基本的に日本列島陸域の解析でも指摘しています北信越地域の異常がこの解析範囲での主要な異常となります。 地下天気図®では異常が消えた後に地震が発生する可能性が高い事が経験的にわかっていますので、この異常がいつ消えるかが重要な意味を持っています。我々はこの異常の推移に注目しています。また地震は青い色が濃い部分だけでなく、そのすぐ外側でも発生する可能性がありますので、十分注意をお願いします。
● 5月29日は第5月曜日なので、本来は休刊日ですが、発行しました。
● 九州・霧島連山の新燃岳の規制解除: 5月26日にそれまで入山規制(レベル2:火口周辺立ち入り禁止)が轢かれていた霧島連山・新燃岳周辺の規制が7年ぶりに解除され、通常のレベル(レベル1)になりました。ただ同じ霧島連山の硫黄山では火山活動が活発化しています。この地域は霧島ジオパークというものにもなっており、20kmx30kmの範囲にある20あまりの火山が含まれています。観光資源でもありますが、時には火山は牙をむく事もあり、安全と観光の両立が課題となります。 火山の警戒レベルの引き下げは観光行政などとの関係もあり、極めて困難な決断となる事があります。たとえば現在噴火中の小笠原の西之島などは、ある意味どのような規制となっていても、一般の方々には関係ありません。それに対し、箱根・大涌谷の規制解除は、非常に困難な判断となりました。このあたり科学的にはどうしても安全サイドに判断をする事になります。
● 海域を含む日本列島全域の地下天気図®: 4月17日のニュースレターでは、紀伊半島周辺に青い地震活動静穏化領域が継続して広がっている事をお知らせしました。その状況は5月24日時点でも、ほとんど変わっていませんが、静穏化のレベルのピークは通過した可能性があります。過去の経験則が正しければ、まだ地震発生の可能性は低いという事になります。 参考として今回のニュースレターでは、解析パラメータを変えた地下天気図®も同時に紹介しています。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®: 4月10日のニュースレターに引き続き、中部・近畿・中国・四国地方の5月18日時点の地下天気図®です。 今回は図を少し改変いたしました。図中の小さな点は、今回の地下天気図®解析に使用した地震(2000年~2017年5月)を図示したものです。地下天気図®はある地域での平均的な地震活動のずれを表していますので、地震(図中の点)が多いところが赤くなるという訳ではありません。あくまでその地域の平均的な地震活動から「どれくらいずれているか」という事により地震の「低気圧=静穏化」「高気圧=活性化」という事が決まってきます。4月の段階と比べて大局的な静穏化異常(青い領域)のパターンは変化していない事がわかりました。
● 金沢市と長野市の地震活動の時間変化グラフ: 4月10日のニュースレターでは、名古屋市と静岡市の異常の時間変化(時系列データと言います)をお示ししましたが、今回は石川県金沢市と長野県長野市における時間変化をお示しします。
● 九州北部の地震活動について: 昨年は熊本地震という極めて激しい地震が熊本を中心に発生しました。そしてさらに南西方向(鹿児島県側)への地震活動の拡大も危惧されています。そしてこの地震活動(熊本地震)は広い意味で将来発生が予想されている南海トラフ沿いの巨大地震の準備の一環と考えられます。実際昨年は熊本地震だけでなく、9月12日には韓国・釜山の北東でマグニチュード5.8という近年では韓国史上最大の地震も発生しています。
福岡県西方沖地震を引き起こしたのは警固(けご)断層と呼ばれる断層で、この断層はまさに福岡市の直下に伸びている断層です。上の図は2005年の地震の位置と、九州北部の活断層の分布です。青色の線がまだ割れ残っている警固断層の部分(セグメントと言います)です。さらに周囲には平行にいくつもの断層が存在しているのがわかります(赤い点は地震を表しています)。つまり、2005年の福岡県西方沖地震、2016年熊本地震を考えると、九州北部では、地震学の常識としても極めて内陸の大地震が発生しやすい状況となっているのです。
● 九州の陸域に特化した地下天気図解析® :今週はこのような状況から、九州地方の内陸地域にターゲットを絞った解析を行なってみました。
● 2017年4月の地震活動: 4月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード(M)5を超える地震は7個発生しました。3月、2月はいずれも5個でしたから、全体としては日本列島は低調な地震活動が続いています。4月で最も大きかった地震は28日に種子島近傍で発生したマグニチュード5.6の地震でした。
● 日本列島陸域に特化した地下天気図®解析:4月3日のニュースレターに引き続き、日本列島陸域の解析を行ないました。今回は5月4日時点の地下天気図®です。その結果、4月3日のニュースレターに掲載したものと基本的な異常のパターンは変わっていない事がわかりました。しかし、中国地方から瀬戸内海にかけての異常が少し小さくなっている事、岩手県を中心とした異常の面積が少し拡大している事も判明しました。北信越地域を中心とする最大の異常は、最盛期(最も地震活動の静穏化異常が進んだ状態)を超えた可能性があります。
● 桜島でも、5月2日には久しぶりに噴煙が4000mまで達する噴火が観測されるなど、火山活動は活発な状態が続いています。3月27日付けのニュースレターでもお知らせした小笠原のベヨネーズ列岩での海底火山活動も活発化しているようです。
● ゴールデンウイークです 火山活動にもご注意!: 2014年の秋の御嶽噴火は、噴火自体の規模は小さかったのですが、秋の行楽シーズンの土曜日のお昼という最悪のタイミングでの噴火で、多くの犠牲者を出してしまいました。 ゴールデンウイーク真っ最中ですが、登山等をお考えの方は、最寄り火山の最低限の火山情報などの入手をお願いいたします。 たとえば浅間山も活発な活動が続いており、傾斜計観測(地面の精密な傾きを測定する装置)では、山体の膨張が確認されています。夜間には高感度カメラで、山頂火口の微弱な火映も観測されています。 浅間山や霧島連山の硫黄山に限らず、大型連休で多くの人が登山に訪れる時期でもあり、地元の自治体や観光協会は、観光客にしっかりと情報を伝えたうえで、火山活動が急に高まった時の対応を考えておく事が求められていると思います。
● 東北地方沖の海域をメインターゲットとした地下天気図®: 3月27日付のニュースレターに引き続き東北地方海域をターゲットとした地下天気図®です。この一ヶ月でさらに静穏化が進行していることがわかりました。 現在静穏化がまだ進行中であり、昨年11月22日に福島沖で発生し、津波警報が出されたマグニチュード7.4のような地震がこの地域で発生するのはもう少し先と考えられます。みなさまにおかれましては、「東北地方北部では、M7クラスの地震発生準備がかなり進んでいる」というようにお考えください。
● DuMA/CSOがテレビ番組に出演します: 5月6日、22時からBS-TBS「諸説あり!という番組が放映されます。この番組にDuMA/CSOが出演します。この回の特集は地震予知がメインで私は地下天気図の解説と地震発光現象や、地鳴りについて解説します。
地震発光現象や、地鳴りについては、昭和40年から5年以上続いた長野県の松代群発地震の際の事例を取り上げています。特に番組中でお聞かせする「地鳴り」は実際に地鳴りが録音された極めて貴重な事例です。
http://www.bs-tbs.co.jp/culture/shosetsuari/
● 地下天気図®が扱う時間スケールについて:地下天気図®解析の一つの目的は、国が「30年で何パーセント」という、極めて長期的な予測しか示していない状況を少しでも改善する事で、「今後数ヶ月から1年」といった時間スケールでの予測とお考えください。
気象の天気図にも地上天気図とか高層天気図のように、同じ日時で複数の天気図が存在します。見ている現象の時間・空間スケールが異なるもので、どちらも現状を表しているものです。地下天気図®も同様のものとお考え下さい。
● 九州・橘湾で地震活動が活発化: 九州中部は熊本地震の発生でもわかりますように、活断層が多く存在する地域です。九州には熊本地震を引き起こした活断層だけでなく、特に「別府- 島原地溝帯」と呼ばれる地域に数多くの活断層が存在しています。特に島原半島の西側に広がる橘湾にも多くの断層系が発達しています。 4月中旬より、この橘湾の周辺で地震活動が活発化している事がわかりました。この地域(雲仙周辺)は熊本地震の発生後も地震活動にはほとんど影響がなかったのですが、久しぶりに中規模の地震が発生しました。 特に昨年の一連の熊本地震でも、橘湾周辺の地震活動にはほとんど影響が出ていませんでした。そして近年(ここ15年ほど)は極めて地震活動が低調な状態が続いていました。 この橘湾の断層群は「雲仙断層群」と呼ばれるもので、およそ100年前の1922年には島原地震と呼ばれるマグニチュード6.9の地震が発生しています。九州は熊本地震により、全体的に活断層型の大地震が誘発される可能性が高くなっている地域という事を認識して頂きたいと思います。
● 首都圏の地下天気図®:3月13日のニュースレターに引き続き、首都圏の4月20日時点の地下天気図®です。今回の解析領域では、基本的に新潟県を中心とした北信越地域の異常がこの範囲での主要な異常となります。 地下天気図®では異常が消えた後に地震が発生する可能性が高い事が経験的にわかっていますので、この異常がいつ消えるかが重要な意味を持っています。DuMAではこの推移に注目しています。また地震は青い色が濃い部分(地震活動静穏化が進んでいる領域)だけでなく、そのすぐ外側でも発生する可能性がありますので、十分注意をお願いします。 昨年12月末の時点では、東京の近くにも青い異常が出現していましたが、これが消えています。解析の結果、関東地方南部(東京・埼玉・千葉・神奈川)の深さ60Km程度での地震発生の可能性が高くなっています。推定されるマグニチュードは異常の最大の広がりがあまり大きくなかった事から最大でも6程度です。
● 熊本地震から1年が経過しました: メディアでも数多く多く取り上げられていますが、熊本地震から1年が経過しました。熊本地震では、地震による直接死が50名、その7割超が家屋の倒壊、2割弱が土砂災害でした。また家屋倒壊のうち約6割は旧耐震基準の住宅であった事がわかっており、現在でも4万人を超える人が熊本県内外で避難生活を続けています。CSO が所属する東海大学の阿蘇校舎も大きな被害を受け、 3名の学生を失うという痛恨の被害が出てしまいました。 今回のニュースレターでは熊本地震の余震活動についても触れています。九州地方で1年間でマグニチュード2以上の地震は、なんと7,500回以上発生していました。熊本地震は余震活動が極めて激しかった内陸地震として歴史に名を残す事になりました。
● 北朝鮮で核実験が行われる?!: このニュースレターで核実験の話題を取り上げるのは2回目となります。なぜ取り上げるのかと言いますと、地下核実験を探知するための地震観測網がニュースレターに関係しているためです。地下天気図®では、「いつ、どこで、どれくらいの大きさの地震が発生したのか」という情報を用いて、地震活動の活発化・静穏化を判断しています。そのためには、高精度な地震観測網が必須なのです。
● 日本列島全域(特に海域の大地震を対象とした解析)の地下天気図®:3月6日のニュースレターに引き続き、海域の大地震をターゲットとした4月13日時点の地下天気図®です。対象となる地震は日本列島周辺でのマグニチュード7クラス以上の地震となります。前回の解析とそのパターンはほとんど変わっていない事がわかりました。
● 2017年3月の地震活動: 3月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード5を超える地震は5個発生しました。これは偶然にも先月、先々月と同じ数となっています。やはり全体としては低調な地震活動が続いています。3月で最も大きかった地震は12日に福島沖で発生したマグニチュード5.4の地震でした。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図®:2月27日のニュースレターに引き続き、中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図です。この地下天気図解析では、2001年以降の16年間に及ぶ地震データを使っているため、比較的短期間では大きな変化をしにくいのが特徴です。 またこれまでにも天気図だけでなく、時系列データというものが重要であるという事をお伝えしてきましたが、今回は名古屋市と静岡市におけるRTM値の時系列データを掲載いたしました。 今後、色々な地点の時系列データというのをお示ししていきたいと考えています。
● カムチャッカ半島で火山活動が活発化: カムチャッカ半島南西端のカンバルニー火山が3月24日ごろからかなり規模の大きい噴火を開始しました。その噴煙は北海道沖合まで流れて拡散しており、ロシア科学アカデミーは付近を航行する航空機へ警戒を呼びかけています。
カムチャッカは温泉も火山も極めて多く、将来の観光地として極めて有望な地域と考えられます。カムチャッカの大規模な間欠泉や、ヘリコプターから見る野生の熊(ヒグマ)は実に見ものです。カムチャッカ半島最大の都市、ペトロパブロフスクの風景も紹介しています。
● 日本列島陸域の地下天気図®:2月20日のニュースレターに続き、日本列島陸域の解析を行いました。新潟県を中心とする異常がさらに顕著になっています。また3月27日のニュースレターで紹介した東北沖の海域の解析でも見られた岩手県を中心とした地域の静穏化の異常も顕著となっています。中国地方から瀬戸内海に広がる異常もまだ継続しているのがわかります
● 東北地方海域をターゲットとした地下天気図®: 2月13日のニュースレターに引き続き、東北地方沖合における解析です。2月13日にも触れましたが、これからも東日本大震災の余震(これは一般的には東西圧縮の逆断層型の地震)や、東北地方が東の方向に大きく動いた事を調整する動き(東西からの引き伸ばしによる正断層の地震)が続きます。昨年11月22日に福島沖で発生し、津波警報が出されたマグニチュード7.4の地震(正断層型の地震)もこの一連の動きでした。 今回の解析で、岩手県周辺および北海道沖の地震活動静穏化領域が拡大しているのがわかりました。さらに今回のニュースレターでは時系列変化のデータも掲載し、解説を行なっています。
● 日本列島全域で火山活動が活発化?!: 3月25日にはおよそ8ヶ月ぶりとなる鹿児島・桜島火山の噴火があり、火砕流の発生も確認されています。また浅間山も活発な活動が続いています。 さらに伊豆諸島につらなるベヨネーズ列岩と呼ばれる地域で24日には海面の変色が確認され、気象庁は噴火警報を発令しました。 ベヨネーズ列岩という名前はあまり馴染みがないかもしれませんが、東京都に属する青ヶ島からの距離は60 kmほどという近さです。近年青ヶ島は“秘境”ブームもあり、人気が上昇しています。
● 東日本大震災から丸6年が経過しました: 3月11日の土曜日には色々な震災関連の番組が放映されました。東日本大震災以降、日本列島の地下の状態は大きく変化してしまいました。 またよく聞かれる質問に「余震はいつまで続くのですか」というものがあります。実は東日本大震災クラスの地震では、厳密な意味での余震は百年オーダーで続きます。また実際に被害が出るような余震が20~30年後に発生する事も珍しくないと考えられています
● 首都圏の地下天気図®: 2月6日のニュースレターに引き続き、首都圏の3月9日時点の地下天気図®です。基本的に新潟県を中心とした北信越地域の異常が継続しています。地下天気図®では異常が消えた後に地震が発生する可能性が高い事が経験的にわかっていますので、この異常がいつ消えるかが重要な意味を持っており、DuMAでも注目しています。また地震は青い色が濃い部分だけでなく、そのすぐ外側でも発生する可能性がありますので、十分注意をお願いします。
● 2017年2月の地震活動 :2月に日本列島およびその周辺で発生した地震のうち、マグニチュード5を超える地震は5個発生しました。これは先月と同じ数となっています。全体としては低調な地震活動が続いています。 2月で最も大きかった地震は28日に福島沖で発生したマグニチュード5.7の地震でした。この地震は同じく福島県沖で昨年11月22日に発生した津波警報を伴った地震と異なり、東日本大震災の”普通の”余震でした。
● 特に海域の大地震を対象とした日本列島全域の地下天気図®: 1月30日のニュースレターに引き続き、海域の大地震をターゲットとした3月1日時点の地下天気図®を今週号では取り上げています。対象となる地震は日本列島周辺でのマグニチュード7クラス以上の地震となります。 図の中の赤い点は、この期間に発生した地震です。赤い点の多さからも日本列島で最も活発な地震活動というのは、東北地方の沖合である事がわかります。
海域(特に西日本)で今後、大きな地震活動が発生する可能性が存在するのは、紀伊半島を中心とした青い領域(地震活動静穏化領域)およびその周辺地域です。
● 中部・近畿・中国・四国地方の地下天気図® :世の中では、色々思いがけない事件が発生し、メディアを騒がせていますが、幸い地震活動は平穏な状態が続いています。今回の解析は、2001年以降の長期間の地震データを使った中部地方以西の解析です。前回、1月24日のニュースレターでの解析結果とは大きく異なっていない事がわかりました。
読者の方に地下天気図®の見方の注意事項として、あくまでも現在の地下天気図®は数日後とか1週間以内の地震発生を予測するものではありません。数ヶ月から半年~1年位のスパンを考えていただきたいと思います。
また、今週号では「歪集中帯」という概念の紹介と説明をさせて頂きました。なぜ日本海の東側で地震が連なって発生してきたのか、あるいは新潟県から長野県や岐阜県を通り兵庫県まで続く「新潟ー神戸歪集中帯」についての解説も行なっています。
● 日本列島陸域の地下天気図®:1月16日のニュースレターでも掲載しました日本列島陸域の解析ですが、新潟県・群馬県を中心とする北関東の異常が顕著となっています。 中国・四国地方の異常も継続していますが、少し面積が小さくなったようです。岩手県を中心とした異常も消えかかってきました。地下天気図®ではこの「消えかかっている」という事は、地震発生の可能性が経験的に高くなったという事を意味します。 また「時系列データ」というものを掲載しました。実際にはこちらのグラフも極めて重要なものなのです。この「時系列データ」というのは、ある地点におけるRTM値という地震活動の静穏化や活性化を表すパラメータの変化を表したもので、状況の時間的な推移を見る事ができます。
● 東北地方沖合海域をターゲットとした地下天気図® : 2011年の東日本大震災から来月で早くも丸6年が経過します。昨年の秋ごろから東北地方の沖合で発生する地震の様相が変わってきた事をこれまでもお伝えしてきました。現在、宮城沖、岩手沖(内陸部も含め)青い地震活動静穏化の異常が出現しており、それが消えつつあるようです。(要警戒)正断層型の地震はまだ事例が少なく、発生時期については正確な事は言えませんが、現在極めて発生が危惧される状況と考えています。
● 地震活動積算図という新しいグラフも用いて、東北地方の地震活動静穏化について説明を行っています。
● 最近の浅間山について解説を行っています。
●2017年1月の地震活動概観: 1月は非常に地震活動が低調な一ヶ月間でした。結果として日本周辺でマグニチュード5を超える地震は5個だけでした。ちなみに2016年12月はマグニチュード(M)6.3の地震を筆頭に7個、11月は鳥取県の地震を含め10個、10月は17個、9月は13個といった具合でした。 今週号では最近の火山活動についても簡単に触れました。
●首都圏の地下天気図®: 昨年12月26日に引き続き、首都圏の地下天気図®解析です。首都圏はフィリピン海プレートと太平洋プレートという2つのプレートが地下に存在し、世界でも有数の複雑な地下構造をしています。 昨年12月23日の時点の地下天気図®より、群馬県を中心とした地域での静穏化(青い領域)の異常が拡大している事がわかりました。
● 日本列島全域の(特に海域の大地震をターゲットとした)地下天気図®: 昨年の12月19日のニュースレターに引続き、海域の大地震をターゲットとした 1月27日時点の地下天気図®を紹介いたします。この解析で対象となる地震は、日本列島周辺でのマグニチュード7クラス以上の地震となります。 地下天気図®では、それぞれの地域の平均的な地震活動からの“ずれ”を計算しています。そのため地震活動度が異なる地域でも、同じ基準で評価する事が可能です。今後、大きな地震活動が発生する可能性が存在するのは、前回の解析でもお知らせした紀伊半島を中心とした領域である事がわかりました。
● DuMA/CEOの危機管理:昨年12月19日のニュースレターに引き続き、DuMA/CEOの危機管理についてのコラム(3回目)をお届けします。
●イタリアで中規模地震の発生(1月18日): 昨年夏以降、イタリアで地震が続いて発生しています。ヨーロッパではイタリアはギリシャと並び地震国・火山国である事はご存知の方も多いと思います。 今回の地震はヨーロッパを襲う寒波が続く中で、積雪の多い地域で発生しました。被害のあったホテルは地震の後のなだれのため、そこに避難していた人が被災している状況のようです。 今回は積雪地での地震災害について考えてみました。
● 年末・年始の東北地方における地震活動:年末年始にかけて、関東地方北部および東北地方南部の太平洋側で中規模の地震が頻発しました。その結果、先週号のニュースレターでお示ししたように、東北地方の海域を対象とした解析で、岩手県およびその周辺に大きな静穏化の異常が出現している事を報告させて頂きました。特に12月28日の茨城県を震源とする地震は震度6弱を1地点で観測したため、NHKは長時間の報道を行いました。この地震は東日本大震災の余震なのですが、昨年11月22日に福島県沖で発生した津波を伴った地震と同様の正断層型の地震でした。それでは、なぜここにきて正断層型の地震が発生しだしたのでしょうか。
● 12月28日の地震の震度分布について:マグニチュード6.3の地震の震度分布ですが、極めて特徴的な震度分布となっていました。実は日本列島中部には糸魚川ー静岡構造線(フォッサマグナ)という、極めて大きな地質境界が存在するのです。この地震で、有感となった地域の西側とフォッサマグナの位置が極めてよく一致しているのがわかりました。
● 日本列島陸域に特化した地下天気図®:昨年12月5日のニュースレターの続報です。今回は1月13日時点の地下天気図を掲載しました。陸域周辺のデータだけで計算しても岩手県を中心とした地域に異常が出現しだした事がわかりました。また新潟県を中心とした地域の異常領域がさらに拡大している事もわかりました。さらに中国地方西部の異常も継続しています。
2016年も大きな地震が続きましたが、2017年も同様の激しい地震活動の1年となる可能性が極めて大きいのではと危惧しています。
● 2016年の地震活動総括:2017年の第1号は昨年の地震活動概観と東北沖の解析についてお知らせ致します。図を含め解説していますが、やはり2016年はこれまでの数年に比較して、比較的大きめの地震活動が活発な一年であった事がわかりました。また日本周辺では、昨年1年間にマグニチュード5以上の地震は118個発生し、これはほぼ平年並みと言えると思います。つまり日本周辺では、3日に1回はこの規模の地震が発生しているのです。 特徴的だったのは11月22日に福島県沖で発生した津波被害を伴った地震に代表される『正断層型』という、従来とは異なった地震が発生したことです。今後DuMAではこのような現象についても詳しい解説を行なっていく予定です。
● 東北沖の地下天気図®解析:昨年は11月22日に久しぶりに津波を伴う地震が発生し、漁業関係にも被害が生じました。 解析の結果、ここ1ヶ月ほどで顕著となってきたのが、岩手県を含む地域での異常です。
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