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複合災害への備え / 危機管理

更新日:2021年8月22日



万一、新型コロナウィルス蔓延期に、地震や火山噴火などの自然災害が起きた時の複合災害時の危機管理や防災・避難の方法が、平時と次元が異なる準備、こころ構えが必要になってきます。 DuMA CSOの系譜である 地球物理学者の寺田寅彦随筆集 第五巻」で、 ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当に(正しく〕こわがることはなかなかむつかしいことだ” と述べていますが、正しくこわがり、準備することが大切です。

 

複合災害への備え【 DuMA CEO 岡本毅 よりのメッセージ 】

以前、「危機管理入門」(下記参照)で述べたが、危機管理の要諦は、“悲観的に準備して、楽観的に行動する”ことにある。

ただ、ここで想定される「危機」は単発的なものであり、複合的な危機は想定外であった。例えば、現状の「新型コロナウィルスの感染拡大(以下「コロナ問題」)」といった危機に、「首都圏直下地震」、「大水害」、「富士山大爆発」等々と云った自然災害が“複合的”に生じた場合にはどう対応すべきか?という問題は厄介である。

例えば、コロナ対策で求められる“3密の回避”は、自然災害では、「(従来型の)避難所」で見られる様に、効率的なライフラインの確保、使用等の為に、むしろ被災者が安全かつ寒さを防ぐ等といった様な“快適”な場所に“寄り添う”ことが求められ、結果として、“3密”状態に陥ることに成り兼ねない。

この様な場合には、コロナ問題と組み合わせる自然災害毎に、“予め”対応を決めておくことが理想であるが、例え明快な結論が出なくとも、少なくとも、“複合災害に遭遇したらどうしよう?”と頭の中でシミュレーションしておくだけでも、実際にその場に遭遇して立ち往生することがないであろう。以下、代表的な自然災害毎の対応方針例を記す。

1 地震の場合

(1) 余震が続く場合

4年前の熊本地震の様な例外を除いて、余震は本震よりは弱いのが通常であるので、本震で自宅等の骨格が大丈夫であれば、敢えて、感染の危険を冒してまで、避難所に避難する必要は無いのではないか?

ただし、ライフライン等がストップして、生活の維持が出来ない場合には、予め感染予防の措置(ソーシャルディスタンスを保つ、マスクをつける等々)を取った上で、避難所等に生活物資を取りに行くのも良いであろう。

なお、食べ物についてであるが、人は、十分な水分の補給(1日当たり最低2リットルが目安)と最初の数日間分の糖分補給が有れば、90日は生存が可能である。即ち、人の体に蓄えられているエネルギーは、糖分で約半日分、たんぱく質で約12日分、脂肪で約70日分と云われているが、脳が必要とする糖分については、副腎から糖質ステロイドが分泌されて筋肉を分解して新しく糖が作られる(糖新生)までの間だけ、その摂取が必要となるが、その他の臓器は、筋肉蛋白質がアミノ酸を経て変化したブドウ糖や脂肪が(ケトン体を経て)変化した脂肪酸を食べて、生きていけるのである。結果として、災害の際の食べ物については、十分な水と多少の糖分が最低限必要と云うことになる。

また、2020年3月5日の「Cell(世界で有名な科学誌の一つ)」誌に掲載(同年3月16日の日経ビジネスに再掲・添付ご参照)された記事によれば、慢性膵炎や術後逆流性食道炎の治療に処方される「カモスタットメシル酸(先発薬剤名フオイパン錠)」が新型コロナウィルスの感染予防に効果的であるとされる。なお、本薬は長年使用されてきてアレルギーや肝障害などの報告は見られるものの重篤な副作用報告は極めて少ない薬剤だそうだ。

(2) 余震が終了した(と思われる)場合

 この場合には、(1)で、避難所に避難していた人も含め、自宅等の感染の恐れの無い(より少ない)場所での避難生活を送るべきである。

2 水害の場合

(1) 自宅が浸水した場合

 この場合には、自宅での寝食が出来ないことに加え、他の感染症の罹患の恐れもあるので、ホテル、親族等の知り合い宅等の自宅以外の避難可能な場所が有れば、そこへの避難を優先し、それが不可の場合(大多数の方はこれに当てはまると思われる)には、避難所へ避難せざるを得ないであろう。

 避難所への避難の際には、可能な限り、感染予防の措置(ソーシャルディスタンスを保つ、マスクをつける等々)を講じると共に、可能な限り戸等を開け密閉状態を避ける、より人数の少ない避難所を選ぶ等の密集状態を避ける、対面での避難生活を避ける等の密接場面を避ける等の工夫が必要である。

(2) 自宅が浸水から免れた場合

 この場合には、ライフラインの確保に留意しつつ、原則として、自宅での避難生活を送るべきであろう。

3 富士山等の火山噴火の場合

 この場合には、風向きにもよるが、鉄道、道路等の「交通・物流」、電力、上下水道等の「社会インフラ」等への甚大な影響は有るが、避難所への避難が必須である様な被害は、例えば、30センチ以上の降灰による木造家屋の倒壊の危険位であり、この場合も、ホテル、親族等の知り合い宅等への避難を優先すべきである。

 以上、繰り返しにはなるが、予め、頭の中だけでも良い、かつ、次善・三善の策でも良いから、平時におけるシミュレーションが重要である。

 

【 DuMA CSO 長尾年恭 よりの メッセージ 】東海大学海洋研究所地震予知・火山津波研究部門長 世の中、新型コロナウイルスのため、未曾有の経済停滞に直面している。このような状況で危惧されるのが、現在のような感染症蔓延期に地震や火山噴火、台風を含む豪雨災害等が同時に発生したら、現在の日本は対応できるのであろうか。

 東日本大震災の時、「想定外」という言葉が多く用いられたが、最も重要なのは、「想定できる」程度の事については、すでに多くの知見があるはずなので、それ以上の「事件」が発生した時に、いかに被害を最小化できるように行動できるかが鍵であろう。そして被害を完全に防ぎきるのは不可能という謙虚な考えを持つ事であろう。

COVID-19については、従来のウイルスと異なった特徴(潜伏期間が長い、感染してもほとんどの人は発症しない?)等が喧伝されている。そしてこの特徴がCOVID-19対策を困難としている。

 たとえば、COVID-19蔓延時に被害地震が発生した場合に、通常とは異なった対応を考えておく事が必要となる。

 たとえ避難所を開設しても、感染を恐れて避難を躊躇する、車での避難をより多くの人が望む事が予想される。さらに避難所で亡くなる人が増える事も想定しておく事が必要となる。

 残念ながら日本の避難所は“体育館での雑魚寝”の状態から脱却できていない。最近はダンボールベット等も導入され始めているが、プライバシーの確保という点での配慮には欠けているのが実情である。これは感染が明らかな人や感染が疑われる人に対して従来タイプの避難所では排斥運動が起こる事が容易に想像できる。

 現状では、観光業の落ち込みも大きく、ホテルや旅館なども空室が目立っており、できるだけ広い空間で避難者を収容するという観点から、平常時にホテルや旅館などを避難所として活用できる協定を自治体とホテル/旅館との間で結んでおくのも一方であろう。

 もう一つ重要なポイントとして、日本の政治そのものが、平常時の運営には慣れているものの、非常時対応についてはほとんど経験が無く、官僚統治の限界に来ていると考えられる。これは「まず法律ありき」の官僚に対して、法律が不備の点については行動を起こしながら、その問題に積極的に対応していくという決断が必要となり、これは日本の官僚機構が最も苦手な点であろう。

 今回、『複合災害』という事をテーマにする訳であるが、これは感染症時の地震や火山噴火だけではなく、色々な複合災害が過去にも発生している。以下例をあげると、

台風と地震

集中豪雨と地震

積雪(大雪)期における火山噴火および地震

猛暑時における地震

 など、過去にも“想定外”の被害を出した災害もある。積雪期に大地震が発生した場合、雪の重みにより、特定の積雪地域で多くの家屋が倒壊した例も存在する。特に1854年の安政東海地震では、福井県や岐阜県で積雪が影響したと思われる潰家が多く報告されている。

 今後、DuMAでは、色々な複合災害についてどのように対処すべきかを複数の著者による寄稿も含め、考えていきたい。

 



 

複 合 災 害 関 連 リ ン ク

 

・DuMA CEO 岡本毅の危機管理入門 ~ 悲観的に準備して、楽観的に行動せよ! ~  

人は、往々にして、“楽観的に準備して、悲観的に行動する”結果として、「危機管理(Crisis Management)」ならぬ

管理危機(Management Crisis)」に陥り易い。

それは、「危機」が、日常茶飯事ではなく、稀にしか生じないことから来る当然の帰結とも云える。

1 警察庁とは?

 皆さんは、「警察庁」と云う役所をご存じだろうか?「踊る大捜査線」に端を発する刑事ドラマがポピュラーになった今では、ご存じの方も多いと思うが、

警察庁」とは、内閣総理大臣の“所轄”の下に置かれた国家公安委員会の“管理”下の“国家警察”であり、

都道府県知事の“所轄”の下に置かれた都道府県公安委員会の“管理”下の警視庁、大阪府警察本部等の“都道府県警察”とは異なる。

警察庁を警視庁と混同される方もおられると思うが、警視庁は、上記の様に東京都の警察であり、本来ならば、“東京都警察本部”と呼ばれる組織であるが、沿革上、警視庁と呼ばれている。

但し、その沿革上故の特殊性もあり、例えば、警察官の階級の最上位は“警視総監”である。

因みに、警察庁の長である警察庁長官には、階級がない。

なお、警察庁長官は、警察庁の採用年次において、警視総監より年次の上の者がなることが慣例である。

(但し、現在の坂口警察庁長官と高橋前警視総監とは同期であり異例。)

2 警察官僚としての訓練

 警察の職務は、刑事警察が代表的であるが、実は、刑事警察に止まらず、

        “交通警察”

        “生活安全警察(保安警察)”

        “警備警察”

        “公安警察”

        “情報通信警察(警察通信)”等々と実に幅広い。

   更に云えば、刑事事件一つとっても、細事まで同じ事件は一つも無い。

   そこで、警察官僚は、ある事象に対処する際には、常に“仮説”を立て、

   実際に事象の処理に当たっては、その“仮説”を“検証”すると云うプロセスが要求される。

   結果、このプロセスが、“非定型的事象”である“危機”への対処と相通ずる処がある、と云うことであり、

   換言すれば、警察官僚は、特に、現場(都道府県警察)に出た際には、日常的に“危機管理”が要求されると云うことになる。

3 「疑似体験」のすすめ

 それでは、警察官ではない一般の方は、どの様にして危機管理に対する訓練をすれば良いのか?

それに対する答えが、“疑似体験(Virtual Reality)”である。

例えば、

 ① 皆さんが、今、私のこの話を公会堂で聞いていたとしよう。

   そこに、ライフルを持った犯人が乱入して来た。

~ 逃げるのか? 逃げるとしたら、どこから逃げるのか? それとも?

 ② 皆さんが勤める会社の工場が、皆さんの目の前で火事になった。

   深夜残業していたので、事務所は勿論、現場にも誰も居ない。

   幸い未だボヤの段階なので、

   ~ 自ら消火するのか? それとも、119番通報するのか?

      はたまた、上司に電話連絡してその指示を待つのか?

   ③ 世田谷で起きた一家殺人事件ではないが、

         皆さんが帰宅したら、奥さん、子供さんが無残にも、息を引き取っていた。

~110番通報をするのか?

                119番通報するのか?  

                   それとも、犯人は屋内に居るかも知れないので、犯人捜しをするのか?

以上の様な事態は、仮に、Virtualなものであっても、夢想だにしたくない事象であろう。

また、実際に、その場に居合わせた時に、“想定”した通りに行動出来る保障はない。

ただ、一つだけ云えるのは、実際に、その様な事象に出くわした時には、少なくとも、気絶したり、極端に慌てふためいたりすることは無くなる(その可能性が減少する)であろう。

因みに、上記に対する“正解”(状況はそれぞれ異なるので、後述する“2nd Best , 3rd Best”も有り得る)は下記の通りである。

   ①’ 取り敢えず、床に近い処、かつ、出来れば机の下等に伏せる。

         なお、火事等その他の突発事象に備えて、なれない場所に行った時には、

         必ず、屋内であれば複数の非常口、

                  屋外であれば逃走に適した方角等を確認することをお勧めする。

   ②’ 携帯で119番通報をしつつ、いち早く現場に駆け付けて消火作業に当たるべきであろう。上司への連絡等はそれからで充分である。

          因みに、当社(岡本硝子)の現場の緊急連絡網の真ん中には、大きな赤い文字で“119番”と書いてある。

          それは、実際には、ボヤの段階で119番通報すれば、後々の後始末が心配なので、

           取り敢えず上司に連絡する方が先だと考える人も居るであろうし、

           極端な話、火事を目の前にして“119番”が出てこない程慌てる人も居るからだ。

   ③’ 自分の身を守ることを最優先しつつ(屋内に犯人が居ないことを確認した上で)、110番通報すべきである。

         110番通報すれば、けが人が居るような場合には、自動的に消防に通報される。

         なお、最近は、ホームセキュリティーの回線通報を遮断する為に、

         晋遊舎は電話回線を切断又は話中にして架電出来ないようにすることもあるので、

         ②の事例と同様、携帯電話は、危機管理には、必須のアイテムである。

          また、TVの刑事ドラマではないが、犯人の指紋を消さない様に、手袋をした方が良いのでは?と云う“通”の方もおられるかもしれない                が、現場に残った指紋は全て採取し、その中から、家族等の「関係者指紋」を排除して、残った指紋(遺留指紋)が犯人の指紋であろ

          うと推定するので、そこまでの心配は無用である。

4 「危機管理」の実際

 刑事でもない一般の皆さんは、3で述べた様な“疑似体験(Virtual Reality)”で想定した様な機会に遭遇することは少ないかも知れない

  (それが故に、万が一、生じた時に備えての“疑似体験(Virtual Reality)”が必要なのだが。)

 ここでは、一般の皆さんが遭遇する場面での、危機管理の実際を考えてみよう。

① 飛行機の座席

       近距離でも中長距離でも、窓の外の風景を見たいと云う様な場合は別にして、多くの方は、トイレに行く場合等を考えて、

        「Aisle(通路側)」の席を確保する方が多いのではないだろうか?しかし、危機管理の観点からすると、「Window(窓側)」が正解である。          統計的に見て、飛行機がハイジャックされたとき、飛行機が墜落して全員が死亡する場合は別として、ハイジャック犯と小競り合いに

         なったりして怪我を負う確率が高いのが、通路側に座っている乗客である。もし、その様な事態が起きたら、窓側の席で、低姿勢(Low

         Profile)でじっとしているのが正解である。

② 新幹線等の座席

 1)自由席の禁煙席、

   2)進行方向後方(出来れば最後列)、

   3)進行方向左通路側(東海道新幹線ならC席、東北新幹線等ならD席) が危機管理上は良い。

         1)の理由は、拳銃等を持っている恐れのある者が、自由席の禁煙席に座る確率は極めて低いからである。

         また、2)の理由は、最後列(或いは後方座席)であれば、車内(コンパートメント内)で起きている、起きようとしている事象がいち早く

         把握できる可能性が高いからである。

         さらに3)の理由は、列車がすれ違時に、何らかの原因で窓が割れたり、車両が損壊したりした場合に、進行方向左側であれば、

         より安全である可能性が高いからである。

         実際、2000年3月8日に、東京メトロ日比谷線の中目黒駅付近で、進行方向右側に乗車していた高校生が、対向列車との接触で亡くなった

         と云う事故があった。

         また、通路側と云うのは、対向列車でなくとも、何らかの原因で窓ガラス等が割れる等の事態を想定してのことである。

③ レストラン等での座席

       パリで実際に起きたイスラム過激派による事件が、日本でも起きないとは限らない。

         その様な場合も含め、あくまでも“危機管理”の観点から安全な席はどの様な席であろうか?

         それは、1)壁を背に背負い、

                     2)非常口に近い 席である。

         1)の理由は、②の2)と同じくその場全体が見渡せるのと同様によるもので、

         さらに、背後から襲われる心配が無い(実際には少ない)からである。

④ 運転の際の注意

       事故に備えての全席シートベルト着用等は勿論、ドライブレコーダー等の装着もお薦めであるが、ここでは、ドアが内側から開かなく

         なった時に備えについて述べる。一昔前の車は、車速が一定以上になると自動的にドアがロックしてしまう機構のモノが多かったが、

         この様な、“自動ロック”は作動しない様にディーラー頼む方が良い。

         因みに、現在の“自動ロック”は、事故等で衝撃が加わった場合には、外側からでも開けられるものが多い様である。

         子供さん等への対策としては、ほぼ全車についている“チャイルド・ロック”を手動でオンにすれば良い。

         また、水没の際に水圧でドアが開かなくなった時に備えては、新車購入の際にディーラー・オプションとなっている

         “シートベルトカッター兼窓ガラスハンマー”の常備は必須である。なお、お持ちでない方は、カーショップで数千円で購入出来る。

⑤ 外国旅行等の際の注意事項。

   1)手荷物;①で述べた飛行機等の座席に加え、キャリーオンラゲッジ、チェックインラゲッジ共に、外部から容易にその地位等が

     認識できる様な“タグ”は付けない。

     また、“Amex Platinum Card”のタグの様な、高所得を推測させる様なタグはタグ自体を付けない。

   2)外出;夜間の外出は、安心できるエージェントのオプション・ツアー等を除き、たとえ複数人でもなるべく控え、

     ホテル内等で過ごす。

   3)宿泊;就寝時には、在室を示唆する“Do not disturb”の札は掲げずに、

     かつ、鍵(複数回(右に)廻せる場合は複数回)を掛けると同時に、内側からチェーン等

     (実は、チェーンであると簡単に切られるのでU字型のバー方式のロックの方が有効)を掛ける。

     また、万一の火災に備えて、バスタブには、ぬるま湯又は水を張って置く。

   4)運転;新興国駐在の場合にはローカルの運転手を雇う場合が多いと思うが、海外駐在で自ら運転する場合は勿論、

     近時では海外旅行の際にもレンタカー等を利用して運転と云う場面も多いのではないかと思う。

     その際には、以下の点に注意が必要である。

       先ず、信号等で停車する場合には、襲撃等の有事に備えて、その場で“Uターン”出来る様に、前の車両との間に間隔

       (可能なら1台分)を開けておく。

       また、④で述べたこととは相反するが、信号等で停車した際に、バイク等に乗った者(多くは二人組)による

       “ひったくり”被害を防ぐ為、ドアはロックしておく。

⑥ 海外駐在の際の注意事項

   先ず、現地に赴任したら、現地の大使館、領事館に“在留届”等を提出することが大前提となるが、

   それに加え、下記の諸点に留意すべきである。

   1)住居選び;場所的に安全な地域、

     例えば、ニューヨークではダウンタウンを避け、郊外の住宅地域に住むと云うことは勿論であるが、

     新興国では、入溝にはガードマン等のチェックがはいる外部と隔離されている様な処が望ましい。

     また、マンション等に入居の際には、はしご車が届かない高層階(目安として5~6階迄)

      及び侵入し易い1階(英国式ではGround Floor)を避ける。

   2)通勤;車での通勤が多くなると思うが、新興国では運転手を雇うことが必要である。

     また、自分で運転する際には、⑤4)で述べたことに留意すべきである。

     さらに、いずれの場合でも、通勤ルートを固定しないことが絶対条件となる。

   3)勤務先;危機管理ではないが、“セクハラ”には、くれぐれも留意すべきである。

   4)その他;街中で強盗等に襲われたら、抵抗せずに、持っている金品を全て差し出す。

     なお、余談であるが、店員等の明らかに強盗では無い人と“喧嘩”をする場合には、現地語では無く、“日本語”でやると良いであろう。

終わりに~悲観的に準備して楽観的に行動せよ

         以上、4回に亘り危機管理について述べたが、纏めると下記の様になる。

        (1)準備に当たっては、「悲観的に準備する」。

その際は、「最悪=WORST」を想定し、その対処ぶりを策定しておく。

        (2)そして、解決策の提示に当たっては、

決して「最善=BEST」を夢見るのではなく、「次善=SECOND BEST」に甘んじる覚悟。

                  コスト等の制約もあるので、次善/三善でも何もやらないよりマシ。

       (3)また、同時に準備の段階では、「疑似体験」をフルに活用し、

リスク計算を周到に行い、応用問題を抱負に用意しておくこと。

               何が起きても「読み筋の危険=CALCULATED RISK」として対処。

        (4)以上のような準備が、いざ本当の危機が訪れた時に、

                その「危機管理」を実施に当たって、「楽観的に行う」ことに繋がる。

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